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2021.02.01

”野球肘”っていったいなに!?皆さんの疑問を解説 part1

こんにちはオークス鍼灸整骨院です!

前回は成長期のお子さんがいらっしゃる保護者の方に向けた

実は知らなかった!?知ってて良かったアイシングの真実

についてお届けいたしました。

 

今回はお子さんが野球をしていらっしゃるご家庭は必見!

野球を続けていると多く耳にする”野球肘”についてお話していきます!(^^)!

 

もくじ

そもそも野球肘になると何がいけないの?

  • 野球肘になる原因

 

野球肘を予防するために必要なことは?

  • 身体をケアするときに特に重要な筋肉は〇〇筋と〇〇筋

まとめ

 

 

 

そもそも野球肘になると何がいけないの?

 

野球というスポーツは近頃人気が下がってきており、

 

”野球離れ”

 

なんて言葉も多く耳にすることがあります。

ただ、依然としてその他のスポーツと比べたときには人気のあるスポーツの1つとして数えられます。

 

全国の青少年を対象にしたスポーツへの関心に関するアンケート調査では、

『過去1年間に「よく行った」運動・スポーツ種目』で、

 

野球はサッカーに次ぐ第2位に挙げられており、

全体の28%が野球を「よく行った」回答したと報告されており、

野球人気の高さがうかがえます(SSF 笹川スポーツ財団,2013)。

 

また、全国中学校体育連盟による平成26年度加盟校調査集計においても、

野球部に所属する生徒数は多く、男子生徒の12%が野球部に所属しています(全国中学校体育連盟,2014)

 

平成26年度の日本高等学校野球連盟の部員数統計においても、

部員数は過去最高を記録しており、現在も非常に人気の高いスポーツである (日本高等学校野球連盟,2014)

 

ただし近年は減少傾向となっており、人気が高いものの野球人口は減ってきているという状況は否めません。

しかし、人気があるスポーツであるということはその競技に特徴的なケガをする人数も増えるということも考えられるわけですね!

 

  • 野球肘になる原因

 

野球は一般的に

”オーバーヘッドスポーツ”と呼ばれ

上半身をよく使って競技をするというその競技特性から上肢(上半身)の障害が多く発生することが指摘されており、

近年投球障害予防への関心が高まっています。

 

日本では、日本臨床スポーツ医学会が示す青少年の野球障害に対する提言の中で、投球数に関する制限を提唱しており、

 

小学生では1日50球以内かつ週200球未満

中学生では1日70球以内かつ週350球未満

高校生では1日100球以内かつ週500球以内

 

を投球数の上限としています(日本臨床スポーツ医学会,1996)(表1-1)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日本中学硬式野球協議会でも、

2013年に中学生投手の投球制限に関する統一ガイドラインを制定し、

 

中学生投手の試合での登板を1日7イニング以内とし、

 

連続する2日間で10イニング以内と投手の投球イニングを制限している。

 

2015年から上記のガイドラインの完全適用を決定しており、中学硬式野球関連団体における指導者の投球障害予防への意識が高まることが予想される。

 

また、最近ではMajor League Baseball(MLB)からも青少年野球選手における投球数の制限に関してPITCH SMARTというサイトを立ち上げ、

GUIDELINES FOR YOUTH AND ADOLESCENT PITCHERS(表1-2)

を制定しており、投球障害予防に尽力を注ぐ団体が増えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投球障害に関する報告では、アンケートを用いて高校生野球選手711名に対して痛みの既往の調査を行っており、

 

76.6%が小・中学生時に痛みを感じており、

 

調査時に痛みを訴えた部位は

 

肘→肩→腰の順に多かったとも報告されています(大倉ら,2003)

 

同じく高校生野球選手を対象としてメディカルチェックを行った報告では、

現在肩関節痛および肘関節痛を自覚している選手はそれぞれ、

 

肩関節で23.2%

肘関節で20.6%

 

の選手が痛みを自覚しており、

過去に同様の関節の痛みを訴えた選手は、

 

肩関節で59.9%

肘関節で71.3%

 

と非常に高い値を示していると報告されています(森原ら,2014)

 

また、中学生硬式野球選手を対象とした報告では、

メディカルチェック時に50.0%の選手が障害を有しており、

障害の内訳は

 

肘関節障害が19.4%

肩関節障害が14.4%

腰部障害が12.9%

 

肘関節および肩関節の障害の発生が多く発生することが分かります(柿沼ら,1998)

 

肘関節に発生する投球障害の多くは、投球動作時に加わる上肢への外力が関与していると言われています。

 

投球フェーズは5期に分けられており(Glousmanら,1992)(図1-1)、

投球フェーズ中の

 

Late cocking期からAcceleration期

 

に64Nmの外反トルクが肘関節へ加わることが投球障害を引き起こす一つの要因とされています(Fleisigら,1995)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、

少年期に発生する肘関節の投球障害の多くは内側に発生します。

それを一般的にリトルリーグ肘(野球肘)と呼びます(Brogdonら,1960)。

 

9.5-12.0歳の野球選手に対してX線を用いて肘関節を調査した報告では、

肘関節障害のうち

57%が内側の障害であったと報告されています(Hangら,2004)

 

また日本人の野球選手の報告でも、

肘関節痛を主訴に来院した

青少年野球選手の73% が内側骨化核下端障害であったとされています(小山ら,2014)

 

野球肘を予防するために必要なことは?

 

これらの障害が発生する肘関節は

 

① 腕尺関節

② 腕頭関節

③ 近位橈尺関節

 

から構成される複合関節であり、

肘関節の外反方向(外側にひねられる動き)への制動には

上腕骨内側上顆を起始にもつ

 

尺側側副靭帯

前腕の屈筋群

回内筋群

 

が関与しています。

そのうち、尺側側副靭帯は特別に鍛えたりできないとされているので、

重要なのは

 

前腕の屈筋群

回内筋群

 

が重要である!

ということになります。

 

前腕の屈筋回内筋群の関与は、

特に尺側手根屈筋と浅指屈筋が外反の制動に関与すると言われています(Udallら,2009)

次回の野球肘に関するブログではケアの方法をお伝えしていこうと思います。

 

お楽しみに!(^^)!

 

まとめ

 

ここまでの内容で野球肘は

 

内側をケガすることが多い

 

ことと

 

尺側手根屈筋と浅指屈筋

 

をしっかりとケアをしなければいけないとお分かりいただけたでしょうか。

さらに詳しく続くブログでお話していこうと考えています。

 

オークス鍼灸整骨院では野球少年のサポートを熱く行っておりますので、

ご相談がありましたら、オークス鍼灸整骨院佐倉 志津店もしくは柏店までお問い合わせください。

 

  • 参考文献

日本中学硬式野球協議会. “中学生投手の投球制限に関する統一ガイドラインの制定.” 2014. <http://www.jaba.or.jp/topics/2014/pdf/s_tokyu_g.pdf>.

日本高等学校野球連盟. “部員数統計.” 2014. <http://www.jhbf.or.jp/data/statistical/index_koushiki.html>.

日本臨床スポーツ医学会. “青少年の野球障害に対する提言.” 1995.

文部科学省. “平成25年度学校保健統計調査.” 2014. <http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/kekka/k_detail/1345146.htm>.

Mejor Leage Baseball. “PITCH SMART.” 2014. <http://m.mlb.com/pitchsmart/>.

大倉俊之, ほか. 宮崎県高校野球選手に対する傷害調査. 52(2),287-289: 整形外科と災害外科, 2003.

森原徹, ほか. 京都府高等学校硬式野球選手に対する傷害予防の取り組み~京都大会サポートについて~. 21(1),176-186: 日本臨床スポーツ医学会誌, 2013.

柿沼忍, ほか. 中学生硬式野球(シニアリーグ)選手を対象としたメディカルチェック. 15(1),75-77: 臨床スポーツ医学, 1998.

Glousman.RE, et al. An electromyographic analysis of the elbow in normal and injured pitchers with medial collateral ligament insufficiency. 20(3),311-7: Am J Sports Med, 1992.

Fleisig.GS, et al. Kinetics of baseball pitching with implications about injury mechanisms. 23(2),233-239: Am J Sports Med, 1995.

Hang.DW, Chao.CM and Hang.YS. A clinical and roentgenographic study of Little League elbow. 32(1),79-84: Am J Sports Med, 2004.

小山智士, ほか. 成長期における野球肘の疫学調査と上腕骨内側上顆骨化核下端障害の治療経験. 22(3),456-462: 日本臨床スポーツ医学会誌, 2014.

Udall.JH, et al. Effects of flexor-pronator muscle loading on valgus stability of the elbow with an intact, stretched, and resected medial ulnar collateral ligament. 18(5),773-8: J Shoulder Elbow Surg, 2009.